
月森綾『従順と恍惚』 |Schön
月森綾『従順と恍惚』|d_577104| 古びた洋館の廊下に、カツカツと控えめな足音が響く。飾りのない黒いメイド服に身を包んだ月森綾は、ぴかりと磨き上げられた床にチリ一つ残さぬよう、日々、屋敷中の清掃に勤しんでいた。代々この屋敷に仕える使用人の一族、月森家にあって、彼女ほど清廉な出で立ちで、てきぱきと仕事をこなす者はいないと評判だった。日々の務めは、若様の身の回りの世話から屋敷の隅々までの清掃、そして夜のお相手まで多岐にわたる。それが、月森家に代々受け継がれてきた役割であり、彼女の全てだった。からりと晴れた昼下がり、誰もいないはずの広間で、綾が最後の仕上げとばかりに柱を拭き上げていると、背後から忍び寄る気配があった。くすりと、いたずら心を隠しきれない若旦那の気配だ。まだ、夜のお勤めには早い時間だというのに。「綾」低く甘い声と共に、温かい手が腰、そして胸に回される。びくりと肩を震わせながらも、綾はその手に抗わない。「若様、いけません……」恥ずかしそうに嫌がる素振りを見せ、はらりとその手を振り払おうとするが、力が込められない。むしろ、その実、まんざらでもないような笑みが、俯いた顔にひっそりと浮かんでいた。代々受け継いできた定め。この関係が決して陽の当たるものではないと知りながら、若旦那の触れる熱が、綾の心を淡く、そして少しの陰りを伴って焦がしていくのだった。R-18のイラスト集□収録内容・序章:35枚(他サイトで掲載しているものと同じものです)・本編:230枚・おまけ:110枚(ボツ画像)・解像度:1752×2560px・ファイル形式:zipファイルに圧縮したjpg画像・AIを使用してイラストの制作を行っています。 ・局部には全てモザイク処理を施しております。・登場している人物は全て架空の人物で成人済みです。